辛い麺好き

BL雑記八割

胸が痛い

BLの話です。

 

凪良ゆうさんの「お菓子の家」「夜明けには優しいキスを」を読んでどうしようもない気持ちに襲われたのでブログ書いておくことにしました。

 

お菓子の家と夜明けには優しいキスをには加瀬さんという人が共通して出てきます。この加瀬さんを思うと私はめちゃくちゃ胸が痛くなる。
私は今まで読んだBLの中でふったらどしゃぶりの半井さんが一番好きで拝んでたのですが、加瀬さんも同じぐらい好きになった。

 

加瀬さんは幼い頃に両親を事故で亡くし、親戚をたらい回しにされちゃんとした愛情を受けないどころか伯父にタバコで火傷を負わされるなどの虐待を受けて育った人。
ずっと普通の家や幸せが欲しい、ただ自分を愛して笑い合える人が欲しい。でもどうやって人間関係を築けばいいかがわからない。
そんな時に出会ったのがフリーターの要さん。加瀬さんは好きになって猛烈にアタックするけど振り向いてもらえず、加瀬さんは力ずくで要さんを抱きます。
そこからこの二人のずぶずぶで救いのない終わりのない関係が始まる。
加瀬さんは本当は優しくしたいけど、恋人が他の誰かと付き合うのではないか自分は捨てられるのではないかという不安から暴力を振るう。本当はしたくないと思っていても抑えられない。
暴力を振るいまくった後に、もうこんなことはしないから自分を見捨てないでと縋るのがもうほんとに読んでて辛かった…。

 

暴力を振るわれている側の要さんも色々あって、一生恋愛はしないと決めていて自ら辛い方に進んでいてそれを救ってくれるのが攻めの公平。なんかもう光だなあ…と思いつつ読んだ。
私はこの二人が付き合ってよかったし、加瀬さんが阿木さんと出会えてよかったなあと心から思ってるのでこの展開でよかったけど、公平にはもう少し考えて欲しかった〜
要さんの彼氏DVだからそんな必要以上に近づいたらまたボコボコにされるのがわからんかな…と思うけどそれがあったからこそ過去のことに向き合えたりしたのかなと。

 

夜明けには優しいキスをの終盤で公平と要さんがセックスするけど、そこも加瀬さんと対比になってて苦しかった。加瀬さんはたしかに無理矢理で無茶苦茶でそうなるのは当たり前だけど。

 

お菓子の家では加瀬さんが味覚障害になっていることがわかるけど、加瀬さんはずっとそのことに気づかなかった。人との繋がりがなかったから自分の舌の異常に気がつけない。
普通の幸せが欲しいだけなのにそれどころか気軽に話せる人すらいない。
ここが加瀬さんの孤独さが一番出てて胸が痛い。

 

最後には加瀬さんから別れを告げるんだけど、それを決めたタイミングとか諸々が本当に辛い。

 

そしてお菓子の家で元ヤクザパン屋さんの阿木さんと出会いバイトを始めます。パン職人の知世さんとかその息子の里央くんがとってもいい人で加瀬さんの周りにこういう人ができてよかったな…と親のように泣いた。
阿木さんにも色々あり恋愛をしないと決めてて、今日セックスして明日別れられるならしようって言うけど加瀬さんは好き合ってないのにそんなことをしても虚しいだけ。それは前の恋人とのことでわかったって言ってて泣いた。加瀬さんと阿木さんと黒猫が寝ている絵が本当に美しくてこれだけで買ってよかったと思った。

 

お菓子の家はすごく小説の雰囲気と絵の雰囲気があってて、ああ…加瀬さん…と天を仰いだ。
加瀬さんも阿木さんも高身長なのがとてもいいな。この気持ちは多分読むと湧き出てくるので読んでください。

 

そういえば夜明けには優しいキスをでは加瀬さんは攻めだったけど、お菓子の家では受けになってます。そこで加瀬さんは自分がどれだけ相手に痛みを与えてたかをきちんと知る。しんどい。
この攻めから受けに変わるのは色々あると思うけど私にとっては割と自然なことかな〜って思った。阿木さんが受けになるのは想像出来なかったし…。一瞬加瀬さんがまた爆発して殴って抱くのかなとは思ったすみません。

 

 

加瀬さんが行った暴力や強姦などは決して許されることじゃないけど、夜明けには優しいキスをでは加瀬さんが主人公なのではと思うぐらい惹き付けられる人でした。

DVが苦手な方はお菓子の家だけでも面白いのでぜひ…!夜明けには優しいキスをはがっつりDVシーンがありますが後味はそこまで悪くないと思うのでぜひ。

 

 

2019.6.25 坦々麺