the virgin butler
BLの話です。
noteに書くか、ブクログのレビューに入れるか悩んだけどなんか違うな~というかブクログに入れるには長いしnoteに書くには私的すぎるかなと思ってはてなに残すことにした。
BL小説の感想とか色々思ったこと。
沙野風結子さんの処女執事を読んだ。
ネットのおすすめ記事に入っていたような気がする。誰かわからないけどすすめてくれた人ありがとうございました。
タイトルは処女執事、表紙は男二人がかなり際どい体制で絡んでいて受けはそれ表紙にして大丈夫なの…?となる格好。帯には生贄として作られた執事だと書かれている。私は最初処女の執事が主人にセックス漬けの生活にされて溺れていく話かと思った。そういう意味での生贄なんじゃないかと。
あらすじには純愛ストーリーだと書いてあるけど嘘だと思った。現に途中まではあらすじ詐欺だと思ったし。受けと攻めの最初のセックス無理やりだし、受けの元主人の前でやり始めるし。けどどんどん伏線が回収されていってその美しさに私は夜中に一人で泣いた。伏線の美しさや綺麗さは今まで読んだBLの中で一番だったかもしれない。
書きたいことを書きたいままに書くから順番無茶苦茶だけど許して欲しい。
私にとってこの小説で一番尊いと思ったのは攻めと受けの幼少期の話。
190と203、好きだから0が共通していることが嬉しい。
このエピソードが何よりも尊くて尊い。私しんどいは使っても尊いって言葉を使うのが苦手でほとんど使ったことがないんだけど、これは尊い以外に言葉が見つからなかった。
柔らかくて優しい。この二人の幼少期の文章を読むとその場面が綺麗に映るようなそんな文章でそこだけ何回も読んでる。この不思議な文章にたまに出会えるんだけど本当に感動する。どうしたらこの文章ができるのかよくわからないので出会えたら幸せとしかいうことができない。比喩が綺麗とか語彙の的確さとかじゃないからどこにまぎれているのかわからない。
たくさんの時間を一緒にいて自然と恋人になっていた。
一つだった魂が二つに分裂してその二人が出会えたり、全てがぴたりと一致する運命のような相手だったりそういうロマンチックな話が私は結構好きでそれに近いけどこんな言葉では表せない。
前世で出会っていた二人でもないし、運命共同体でもない。でも確かに繋がりあっているのが本当に尊い。
人として当たり前にあるはずの、自分の体も意思も何もかも自分が持つものは全て自分のものだということがない。
生まれたときから誰かの意思でカスタマイズされ、自由を得ることも望まない。それが当たり前だと洗脳されている人生。
人間としての自由、自分の意思が通らなければならないことを知らずに一生を終える。惨くてエゴが溢れている。
でももし自分が心臓が弱く財があり、自分に移植できる心臓を得るために誰かを作ることが合法だったらそれを選ばずに生きていけるんだろうか。
もし元主人の心臓が強く移植の必要性がなければ、受けは誕生していなかったし攻めと受けは出会うことがなかったんだなと思うと皮肉だなあ。
V種型執事
virgin,virtuous,valuable,venerable,vacant,victim
このVの意味がとても苦しくて痛い。だからタイトルもそうなってるのかな。
精液をミルキーバーにたとえて会話するのがすごい。普通なら卑猥に聞こえそうなのにそう感じないから更にすごい。
幼いゆえの純粋さや無知さが尊い。
相手の精液を舐めて甘くないとがっかりしたけど、その味が好きになったっていうのが無邪気でここでも一人で泣いた。
二人がお互いの名前を呼び合うところが本当に綺麗で澄んでいて柔らかい。
もはや感想なのか何なのかわからなかったけど、本当によかった。
2019.7.11 坦々麺