辛い麺好き

BL雑記八割

2019年上半期に読んだBLまとめ①

※元々noteで公開していたのをはてなに移しました。

 

 

BLの話です。

 

この間除夜の鐘聞いて新年が始まって、令和の発表を聞いたはずなのにもう上半期が終わると聞いて震えています。令和始まってもう二ヶ月経つのか。

 

2019年上半期に読んだBL小説をまとめようと思います。文字数が思いのほか多くなったので二つに分けます。
いつも通りネタバレ祭りです。
この上半期に出た新刊はほとんどありません。

 

①は独断で誰でも読めるであろうBLまとめ。以下敬称略

あなたのものにしてください/夕映月子 
メロウレイン/一穂ミチ
琥珀/英田サキ.神奈木智.菅野彰.樋口美沙緒.松岡なつき
添い寝から始めました。/水無月さらら
ナイトガーデン完全版/一穂ミチ
セックスフレンド/菱沢九月
純情ポルノ/海野幸
お菓子の家/凪良ゆう
美しい彼/凪良ゆう
色悪作家と校正者の不貞/菅野彰
禁忌の報謝/真崎ひかる
さよなら一顆/一穂ミチ
恋を知る/月村奎 
パブリックスクール ―ツバメと殉教者―/樋口美沙緒

感想など

あなたのものにしてください
男性恐怖症の受けと大人な攻めのプラトニックラブ。じわじわと二人の恋が進んでいくのがめちゃくちゃ可愛かった。
年上攻め大好きで、この小説の攻めみたいな年上攻め大好きです。相手をリードする余裕のある人かっこいい。

メロウレイン
今のところ好きなBL小説一位タイのふったらどしゃぶりのペーパーなどをまとめた一冊。一穂ミチさんのちょっとした日常の会話が大好きなので一冊まるごと抱えてお墓に入りたい気分でした。棺に入れて欲しい。

添い寝から始めました。
これも年上攻め。所謂ソフレから関係が進んでいく話。やっぱり年上攻めは最高だと再確認した。受けが少し変人のBLが好きなのかもしれない。
受けの友達の女性も出てきますが本当にいい人で、全員幸せになってほしい。

ナイトガーデン完全版
ふったらどしゃぶりのスピンオフ。なんかもうこれに関しては色んな感情が起こりすぎてレポート書けそう。
こうやって人は交わって分かれて平行になるんだなと。ナイトガーデンの二人の幸せと幼馴染二人が好きな人を好きでいられるように願うしかなかった。

セックスフレンド
これはなんというかあまり言葉にできない。セックスフレンドというタイトルがとってもぴったりだなあと思ったけど、この説明で想像する内容じゃないのでぜひ読んでみてください。

純情ポルノ
二十五歳童貞ポルノ作家と幼馴染料理人の話。受けが可愛い。海野さんの小説二冊目だけど片想いの仕方?が可愛い。

お菓子の家
孤独で無愛想な男と元ヤクザパン屋さんの話。ずっと読みたくてやっと読めた。受けの加瀬さんがとてつもなく切ない。絵がとても中身とあっていてさらに苦しくなった。加瀬さん…。どちらも長身というのがめちゃくちゃいい。

美しい彼
スクールカースト底辺の攻めと頂上の受けの話。最初は面白いのか…?と不安になったけど、気がついたら夜中まで読んでた。この攻めが本当にやばい、徹底して受けの下僕として生きていてその思考も結構危ない。受けもだんだんそれに絆されていくというか満更でもなくなっていって…って感じでツンデレ?好きな人にはたまらないと思う。

色悪作家と校正者の不貞
これはそのままでラブコメ!って感じ。本当に水と油で会話が本当に面白い。ほとんど会話見て笑ってた。本が好きなのでそういう意味でも面白かった。続きも読みます。

禁忌の報謝
島の神への生贄として育てられた18歳とその島の社の修復をするために訪れた宮大工の話。ずっと清い身だった生贄18歳と一晩過ごしてしまい島で事故を装って殺されそうになったところを二人で逃げ出す…という話なんだけど思いのほかあっさり抜け出してそのあとも追っ手なしで拍子抜けしてしまったけど、受けが綺麗でかわいかった…。

さよなら一顆
やっぱり一穂さんの文章はいいなあ…と思いながら読んだ。チャラいというか遊びぐせのある攻めとバツイチの変人受けの話。結構淡々としてるのに温かくて優しくて何かがストンと落ちる。激情的なドラマチックさはないけど、読み終わったらよかったな〜と思える良さ。

恋を知る
初の月村奎さんの小説。先生と生徒ものかと思っていたら、短編集でびっくりした。どれも王道だったけどよかった…。倦怠期のBLあんまり読んだことないから新鮮だった。喧嘩したり片思いしたり告白したりで面白かった。あとがきでお餅について力説する小説家さん始めてであとがきまで好きだったので長編も読む。

パブリックスクール ―ツバメと殉教者―
今まで読んだ中で一番好きなBL小説パブリックスクールのスピンオフ。単行本で読んでいたので再読になったけどやっぱりしんどい。書き下ろしを読むと今までと違った見方ができて本当によかった。あとyocoさんの絵が増えているとは思っていなかったので幸せすぎた…。パブリックスクールは文章が美しくて世界観が本当に素敵なので全人類に読んで欲しい。攻めの葛藤が本当にしんどい(語彙力がない)。

 

上記はどれもだいたい優しくて温かいものが多いので色んな人に読んで欲しい…特に年上攻めと書いてる二冊はスパダリ年上攻めが好きな人にはめちゃくちゃおすすめです。

次の②では人を選ぶかもしれない設定のあるBL小説まとめます。

 

 

2019.6.30 坦々麺

八王子姫

 

 

 

BLの話です。 

 

 

海野幸さんの八王子姫を読みました。
いつもと変わらず書きたいことをだらだらと書く感想文。

 

 

海野さん面白すぎて最近ほぼ作家買いしてる。コメディじゃないのに笑ってしまう面白さがある。
傍から見ればなにやってんの早く付き合いなよ!!!!!となっても本人たちは真剣なんだろうなあというのがにやにやしてしまう。王道なのにちょっとしたことがズレててそこが最高に面白い。

 

八王子姫っていうタイトル見た瞬間海月姫出てきたの私だけ?海月姫はドラマ見ただけ。

 

八王子姫は今まで読んだ海野さんの小説の中で一番好きだった。
攻めが長髪、変人、変態、S、っていう私が好きな攻めが詰まってて最高だった…。変人って常識なしの人間なら簡単だけど危ない一歩手前って本当に際どくて難しいから常識があって変な人を書ける人は天才だと私は思ってる。

受けが女装してるから読みながら木原さんの美しいことを思い出した。思い出すと心臓がきゅっとなる。

 

攻めは本当に変わっていて、行動が結構すごい。受けが女装していて、それに合わせて燕尾服着てくる人はじめて見た。私は関西にほぼずっと住んでいて、たまに東京に行くけど八王子は行ったことがなくてよくわからないけど作中の八王子でそれをできることがすごい。一歩間違えたら危ない人だと思う。いやもうすでに危ないかも。
あと実はSっていうのがめちゃくちゃいい。Sも一歩間違えたらただのやばいやつなのでそこのぎりぎりを攻められる書き方できる人すごい。

 

受けが諸事情で姉と結構共依存になっていて、そこが思いのほか掘り下げられていて攻めと受けの感じがコミカルな分うお…ってなる。

 

攻めは変だしど変態だけど、めちゃくちゃかっこいい。受けがうまく人の手を取って握ることが苦手なことをわかっていて、そこをきちんと補える。
久しぶりに発言が気障な攻め見た。これも危ない一歩手前だけど…w 私攻めを貶してる感すごいけど、めちゃくちゃ褒めてるしかなり好きな攻め上位に入る。

 

百人の人の視線は気にならないけど、君の視線がどこを向いてるのかは気になるみたいなこと言うんだけどかっこよくない?これめっちゃきゅんとした。

 

 

最後には姉にも弟にもお互い以外の人間がパーソナルスペース?に入ってきてよかったなあ…。姉弟で支えあうを超えて依存になってしまっているのはBLではじめて見た。最初は姉に逆らえない弟かなあと思ったけど、そうでもなかった。

 

 

 

2019.7.19 坦々麺

 

the virgin butler

BLの話です。

 

 

noteに書くか、ブクログのレビューに入れるか悩んだけどなんか違うな~というかブクログに入れるには長いしnoteに書くには私的すぎるかなと思ってはてなに残すことにした。
BL小説の感想とか色々思ったこと。

 

沙野風結子さんの処女執事を読んだ。
ネットのおすすめ記事に入っていたような気がする。誰かわからないけどすすめてくれた人ありがとうございました。

 

タイトルは処女執事、表紙は男二人がかなり際どい体制で絡んでいて受けはそれ表紙にして大丈夫なの…?となる格好。帯には生贄として作られた執事だと書かれている。私は最初処女の執事が主人にセックス漬けの生活にされて溺れていく話かと思った。そういう意味での生贄なんじゃないかと。

あらすじには純愛ストーリーだと書いてあるけど嘘だと思った。現に途中まではあらすじ詐欺だと思ったし。受けと攻めの最初のセックス無理やりだし、受けの元主人の前でやり始めるし。けどどんどん伏線が回収されていってその美しさに私は夜中に一人で泣いた。伏線の美しさや綺麗さは今まで読んだBLの中で一番だったかもしれない。

 

書きたいことを書きたいままに書くから順番無茶苦茶だけど許して欲しい。

 

私にとってこの小説で一番尊いと思ったのは攻めと受けの幼少期の話。
190と203、好きだから0が共通していることが嬉しい。
このエピソードが何よりも尊くて尊い。私しんどいは使っても尊いって言葉を使うのが苦手でほとんど使ったことがないんだけど、これは尊い以外に言葉が見つからなかった。
柔らかくて優しい。この二人の幼少期の文章を読むとその場面が綺麗に映るようなそんな文章でそこだけ何回も読んでる。この不思議な文章にたまに出会えるんだけど本当に感動する。どうしたらこの文章ができるのかよくわからないので出会えたら幸せとしかいうことができない。比喩が綺麗とか語彙の的確さとかじゃないからどこにまぎれているのかわからない。
たくさんの時間を一緒にいて自然と恋人になっていた。

一つだった魂が二つに分裂してその二人が出会えたり、全てがぴたりと一致する運命のような相手だったりそういうロマンチックな話が私は結構好きでそれに近いけどこんな言葉では表せない。

前世で出会っていた二人でもないし、運命共同体でもない。でも確かに繋がりあっているのが本当に尊い

 

人として当たり前にあるはずの、自分の体も意思も何もかも自分が持つものは全て自分のものだということがない。
生まれたときから誰かの意思でカスタマイズされ、自由を得ることも望まない。それが当たり前だと洗脳されている人生。
人間としての自由、自分の意思が通らなければならないことを知らずに一生を終える。惨くてエゴが溢れている。

でももし自分が心臓が弱く財があり、自分に移植できる心臓を得るために誰かを作ることが合法だったらそれを選ばずに生きていけるんだろうか。
もし元主人の心臓が強く移植の必要性がなければ、受けは誕生していなかったし攻めと受けは出会うことがなかったんだなと思うと皮肉だなあ。

 

V種型執事
virgin,virtuous,valuable,venerable,vacant,victim
このVの意味がとても苦しくて痛い。だからタイトルもそうなってるのかな。

 

精液をミルキーバーにたとえて会話するのがすごい。普通なら卑猥に聞こえそうなのにそう感じないから更にすごい。
幼いゆえの純粋さや無知さが尊い
相手の精液を舐めて甘くないとがっかりしたけど、その味が好きになったっていうのが無邪気でここでも一人で泣いた。

 

二人がお互いの名前を呼び合うところが本当に綺麗で澄んでいて柔らかい。

 

もはや感想なのか何なのかわからなかったけど、本当によかった。

 

 

 

2019.7.11 坦々麺

 

胸が痛い

BLの話です。

 

凪良ゆうさんの「お菓子の家」「夜明けには優しいキスを」を読んでどうしようもない気持ちに襲われたのでブログ書いておくことにしました。

 

お菓子の家と夜明けには優しいキスをには加瀬さんという人が共通して出てきます。この加瀬さんを思うと私はめちゃくちゃ胸が痛くなる。
私は今まで読んだBLの中でふったらどしゃぶりの半井さんが一番好きで拝んでたのですが、加瀬さんも同じぐらい好きになった。

 

加瀬さんは幼い頃に両親を事故で亡くし、親戚をたらい回しにされちゃんとした愛情を受けないどころか伯父にタバコで火傷を負わされるなどの虐待を受けて育った人。
ずっと普通の家や幸せが欲しい、ただ自分を愛して笑い合える人が欲しい。でもどうやって人間関係を築けばいいかがわからない。
そんな時に出会ったのがフリーターの要さん。加瀬さんは好きになって猛烈にアタックするけど振り向いてもらえず、加瀬さんは力ずくで要さんを抱きます。
そこからこの二人のずぶずぶで救いのない終わりのない関係が始まる。
加瀬さんは本当は優しくしたいけど、恋人が他の誰かと付き合うのではないか自分は捨てられるのではないかという不安から暴力を振るう。本当はしたくないと思っていても抑えられない。
暴力を振るいまくった後に、もうこんなことはしないから自分を見捨てないでと縋るのがもうほんとに読んでて辛かった…。

 

暴力を振るわれている側の要さんも色々あって、一生恋愛はしないと決めていて自ら辛い方に進んでいてそれを救ってくれるのが攻めの公平。なんかもう光だなあ…と思いつつ読んだ。
私はこの二人が付き合ってよかったし、加瀬さんが阿木さんと出会えてよかったなあと心から思ってるのでこの展開でよかったけど、公平にはもう少し考えて欲しかった〜
要さんの彼氏DVだからそんな必要以上に近づいたらまたボコボコにされるのがわからんかな…と思うけどそれがあったからこそ過去のことに向き合えたりしたのかなと。

 

夜明けには優しいキスをの終盤で公平と要さんがセックスするけど、そこも加瀬さんと対比になってて苦しかった。加瀬さんはたしかに無理矢理で無茶苦茶でそうなるのは当たり前だけど。

 

お菓子の家では加瀬さんが味覚障害になっていることがわかるけど、加瀬さんはずっとそのことに気づかなかった。人との繋がりがなかったから自分の舌の異常に気がつけない。
普通の幸せが欲しいだけなのにそれどころか気軽に話せる人すらいない。
ここが加瀬さんの孤独さが一番出てて胸が痛い。

 

最後には加瀬さんから別れを告げるんだけど、それを決めたタイミングとか諸々が本当に辛い。

 

そしてお菓子の家で元ヤクザパン屋さんの阿木さんと出会いバイトを始めます。パン職人の知世さんとかその息子の里央くんがとってもいい人で加瀬さんの周りにこういう人ができてよかったな…と親のように泣いた。
阿木さんにも色々あり恋愛をしないと決めてて、今日セックスして明日別れられるならしようって言うけど加瀬さんは好き合ってないのにそんなことをしても虚しいだけ。それは前の恋人とのことでわかったって言ってて泣いた。加瀬さんと阿木さんと黒猫が寝ている絵が本当に美しくてこれだけで買ってよかったと思った。

 

お菓子の家はすごく小説の雰囲気と絵の雰囲気があってて、ああ…加瀬さん…と天を仰いだ。
加瀬さんも阿木さんも高身長なのがとてもいいな。この気持ちは多分読むと湧き出てくるので読んでください。

 

そういえば夜明けには優しいキスをでは加瀬さんは攻めだったけど、お菓子の家では受けになってます。そこで加瀬さんは自分がどれだけ相手に痛みを与えてたかをきちんと知る。しんどい。
この攻めから受けに変わるのは色々あると思うけど私にとっては割と自然なことかな〜って思った。阿木さんが受けになるのは想像出来なかったし…。一瞬加瀬さんがまた爆発して殴って抱くのかなとは思ったすみません。

 

 

加瀬さんが行った暴力や強姦などは決して許されることじゃないけど、夜明けには優しいキスをでは加瀬さんが主人公なのではと思うぐらい惹き付けられる人でした。

DVが苦手な方はお菓子の家だけでも面白いのでぜひ…!夜明けには優しいキスをはがっつりDVシーンがありますが後味はそこまで悪くないと思うのでぜひ。

 

 

2019.6.25 坦々麺