辛い麺好き

BL雑記八割

とにもかくにもしんどい

 

 

BLの話です。

 

 

またBLを読んであまりのしんどさに胸が痛くなり苦しんでいる。
まだ全部読んでないけど今書かないと全部忘れる!!!!!と思ったので書く。小説読み終わると大方内容を忘れてしまうので一分一秒を争う戦い。

 

いつも通り雑記なのでネタバレしかないです。

 

 

読んでいるのは高遠琉加さんの楽園建造計画です。
今三冊目まで読み終わりました。最終刊が読みたいのに読みたくなくて手が震えます。

表題作の楽園建造計画と書き下ろしのさよならを教えたいの二つの話が載ってて、この二つは微妙に繋がっているというか舞台が同じです。微かにああ…とわかる。

 

話は武蔵野にあるぼろぼろアパートの住人たちの交流やら恋愛やら。青春群像劇ってあらすじには書いてた。
カプは美大生同士(書き下ろし)と、美大生・苦学生と芸大生と経済学部生(表題作)の三カプ。一番最後の二人は付き合うのかどうなのか今のところよくわからないぐらいじわじわと話が進んでる。あと全員同じ大学です。芸大と美大に分けたのは絵を描いてるかそうでないかの違いでなんとなくわけただけです。
他アパートの住人が出てきます。割とキャラが濃い。

 

 

 ツイッターで呟いたのを貼っておく。割といいたいことはこれでいけそうな気もする。

 

 

 

 

最後のツイート通り本当にどこまでも青春なのにどこまでもBL。
BLと青春って結構共存してると思うけど、今まで読んだ中では一番どちらもが立っていた。どっちの側面でも読める。

 

タイトルがぴったりだと思う。楽園を建造している途中。それぞれの楽園。

 

楽園建造計画もさよならを教えたいも楽園、理想郷を作っている感じだけど雰囲気が真逆。
楽園は明るさと暗さどちらも持っているけど全体的には明るい。二人でありながらも他の人が入る余地がある。他の人もいる楽園。
一方さよならを教えたいの理想郷は他者を寄せ付けない。必要としない。二人だけでい続けることが理想郷なんだろうな。雰囲気も暗いし狭い。

 

一つ屋根の下、寮ではなくアパートだけど元寮だからか寮みたいな雰囲気がある。共同の居間や台所には誰かがいたり、停電したらみんなでろうそくを探したり。知らない間に恋が進んでそれを知ったり知られたり。みんなで鍋を囲んだり、テレビを買うために学園祭に出てみたり。
煌きと苦しさの割合がちょうどいい。

 

 

表題作の写真について学んでいる攻めと経済学部に通っている受けの二人は本当に付き合うのかよくわかりません。攻めが掴めない人間でよくわからない。胡散臭いとかそういうのじゃないけど、なんかするっと気づいたら手から滑り落ちていそうな感じ。
受けがじわじわと攻めを意識してきているかなあ…と思う。知らないことが楽だと思っていたのにそれに不安を感じ始める。しんどい。

 

絵を学んでいる攻めと苦学生の受けは胸が痛くなる。ぐう…って感じ。
受けの響川さんがお金が必要で自分を売ってでも稼ごうとするのがとてつもなく苦しい。それを知った攻めが激昂してお金は自分が払うからってことでお金が絡んだ関係になってしまう。もともと絵のモデルになっていたから受けは今までと変わらないことをしていると食いしばるのが辛い。
この二人はちゃんと幸せになったのでよかったです。

 

書き下ろしのどちらも絵を描き学んでいる二人はもう何も言えない。言うけど。
この二人はセックスはするけど付き合っていない。でもセフレでもない名前のない関係の二人。
最初は受けは電車が通れば部屋が揺れるようなところに住んでてここで二人はセックスをしていたりする。そういう二人が好きなので刺さりすぎておかしくなりそうだった。この部屋の描写がとても暗くて狭くて他に人なんかいないのではと思わせる。そこに吹いている風や揺れる部屋とか色んなことがそのまま想像できる。
一見受けが攻めに依存しきっているような感じだけど案外攻めも受けがいないとだめなんじゃないかなと思ったり思わなかったり。
受けは幼い頃世界の見え方が少し変わっていてそれを絵にして吐き出していたんだけど、大学で進級するための絵を描いて攻めは怒る。変化と同化って善なのか悪なのかわからないなあ。

 

 

 

読んでいてずっとどきどきしていた。ページをめくる手が震えてうまく次に進めなかったりした。
とても独特の文ではないけど読んでいて泣きそうになる。ふっと涙腺がゆるむ。どこかでこの作者さんは作家になるための人って書いてあったけどそうだと思った。ぎらぎらとデコレーションされているわけじゃないのに他の誰にもない。
たまにある憂いを帯びたどこかに溶けてしまいそうな瞬間の描写がそのまますぎて本当にすごかった。

 

気合を入れて最終刊読んでくる。それぞれの関係の終着点かな。

 

 

 

 

2019.8.14 坦々麺